点灯式イベントレポート

Event Report

イルミネーションの中で東京の風情を楽しめる新スポットが誕生。
西新宿イルミネーションマーケット 点灯式 開催レポート

画像;都庁とイルミネーションが写った写真

東京都新宿区の西新宿エリア一帯で、ナイトタイム観光の活性化を目指すプロジェクト「TOKYO NIGHTTIME PROJECT」。2024年11月28日から2025年1月13日にかけて、全長約200mにわたるイルミネーションが街を照らす「西新宿イルミネーションマーケット(Nishi-Shinjuku Illumination Market)」を実施。その初日は新宿三井ビルディング前にて、豪華ゲストを迎えた点灯式が行われました。本記事では、イベント当日のレポートをお届けします。

光と食、アートが、西新宿の夜を彩るイルミネーションマーケット

冬の訪れをほのかに感じる、11月28日の夕暮れ時。高層ビルが立ち並ぶ西新宿エリアに、少しずつ人々が集まります。この日から始まるのは、「西新宿イルミネーションマーケット」。西新宿エリアのメインストリートをイルミネーションで彩り、ナイトタイムのにぎわいを創出するプロジェクトで、2025 年1月13日まで開催されます。

MAP

イルミネーションがともされるのは、東京都庁沿いの中央通り全長約200mのエリア。江戸時代の風情を感じられるキッチンカーやマルシェも集まり、来場者は五感を通して、東京が誇る伝統と革新を楽しむことができます。

東京に生まれるイルミネーションの新スポットを記念すべく、この日に開催されたのが点灯式です。会場にはキッチンカーとマルシェがオープン。「食事処」のちょうちんが下がるキッチンカーエリアには、多彩なグルメが並びます。その一つである「鮨さきがけ」は、都内で日頃からキッチンカーを営業する鮨屋。江戸前鮨の原点にかえり、路上の屋台で楽しむスタイルを現代によみがえらせているお店です。新鮮な魚介を、江戸時代に主流だったとされる赤酢で楽しむことができます。キッチンカーエリアには他にも、チュロスやたこ焼き、ラーメンなど、東京の多彩な食文化が集結。食欲をそそる香りが漂いました。

一方のマルシェエリアには、小物やアクセサリーを手掛けるアーティストが出店。“あずま袋”と呼ばれる着物をリメイクしたエコバッグ、直径2cmほどのミニチュアアートの庭園、デニムをリメイクしたハンドメイドアイテム、うずら卵で作られたアクセサリーなど、個性豊かな作品が来場者の目を引きつけます。丁寧に仕上げられた作品一つ一つには、東京の多様なカルチャーが映し出されているのでしょう。

多彩なグルメとモノが並ぶマーケットは、かつて宿場町であった新宿のにぎわいを感じさせます。さらに三味線や紙芝居などの催しも会場を盛り上げており、日本語と英語を交えたパフォーマンスなどは観光客を魅了します。イベント期間を通じ、各店舗は定期的に入れ替わる予定です。何度も訪れることで、新たな魅力に出会えるかもしれません。

画像:提灯の写真
画像:食事処に人が集まっている写真
画像:テントに人が集まっている写真
画像:人々が紙芝居をみている写真

地域の人々の思いで、世界的な観光名所への進化を目指す

17時を過ぎ、徐々に空が暗くなると、新宿三井ビルディング前の特設ステージで点灯式が始まりました。冒頭で登壇したのは、一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会 副理事長の佐藤伸朗さん。始動したTOKYO NIGHTTIME PROJECTについて「新宿から東京を活性化させたい」と意気込みを語ります。

「私たち新宿副都心エリア環境改善委員会は、西新宿に立地する企業の集まりです。西新宿を訪れる人々、働く人々、暮らす人々など、多くの皆さまにとって魅力ある街にしたいと考えています。西新宿エリアは主に、都庁、高層ビル街、新宿中央公園から構成されますが、こうした垣根を取り払い、一体となって街を盛り上げるのが本イベントの役割。TOKYO NIGHTTIME PROJECTの期間中は、イルミネーションやキッチンカーに加え、都庁にプロジェクションマッピングも投影されるので、夜間の時間帯が活性化すると期待しています。東京を、昼も夜も魅力のある地域にするチャレンジが、西新宿からスタートするのはありがたいこと。私たちも全力でおもてなししますので、ぜひ足を運んでお楽しみください」(佐藤さん)

続いて、一般社団法人新宿観光振興協会 専務理事の島田治さんがステージに上がり、「多くの皆さまに、西新宿エリアの魅力を知ってほしい」と思いを述べました。

「新宿観光振興協会は『新宿パークシネマフェスティバル』という野外の映画上映イベントを、新宿中央公園で数年前から開催しています。会場周辺には美しいイルミネーションが広がるのですが、『いつの日か、もっとたくさんの方々に、この光景を見ていただきたい』という思いを抱いてきました。この願いがかなったのが、本日です。TOKYO NIGHTTIME PROJECTが、いつまでも来場者の心に残ってほしいと考えています。この一年の締めくくり、2025年の始まりを、この西新宿で過ごしていただければ幸いです」(島田さん)

西新宿エリアは、東京の観光スポットとして注目されるだけでなく、地域の方々にとっても思い入れのある場所。イルミネーションを通じて多くの人でにぎわうことは、まちづくりにおいても意義があることです。

画像:一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会 副理事長の佐藤伸朗さんがステージで話す様子の写真
画像:一般社団法人新宿観光振興協会 専務理事の島田治さんがステージで話す様子の写真

スペシャルゲスト・柔道家の阿部きょうだいがナイトタイム観光への期待を語る

点灯式ではスペシャルゲストも登壇。この日招かれたのは、日本の柔道界をけん引する阿部一二三選手と阿部詩選手です。阿部一二三選手はタータンチェックのコート、詩選手はレトロな雰囲気のセットアップとコートで登場。現在も世界的に活躍する二人が、イルミネーションや冬の思い出について語りました。

「東京の夜はキラキラした街並みが魅力。特にクリスマスシーズンは、イルミネーションのある場所で食事をするのも楽しみの一つです。私たちは兵庫県の出身で、イルミネーションの名所に毎年家族で出掛けていました。今年のクリスマスは、コートなどの買い物を楽しみたいと思っています」(阿部一二三選手)

「私にとって東京のシンボルは、東京タワー。夜のきらびやかな光景が大好きです。子どもの頃にお父さんに抱っこしてもらいながら、イルミネーションを見たのを覚えています。またクリスマスといえば、兄へのプレゼントが『自分のものより大きいのでは?』と、こっそり確認したこともありました。今年のクリスマスは、イルミネーションなどの雰囲気を楽しみながら、のんびりと過ごしたいです」(阿部詩選手)

東京という街と柔道には、伝統を守りながらも、常に新しいことにチャレンジするという共通点があります。二人はどのようなことを心掛け、挑戦を続けているのでしょうか。

「日本発祥の柔道ですが、戦略やルールは次々と変わります。私は“心・技・体”という精神を、一貫して大切にしてきました。礼に始まり、礼に終わる柔道において、心も体も強くありたいという思いが、ずっと私を動かしてきたのです。今後の目標は、オリンピック3連覇を目指し、ロス大会に向けて試合を勝ち切ること。一歩一歩着実に進もうと思います」(阿部一二三選手)

「伝統を大切にしながらも、変化しなければならないという思いは、常に自分の中に抱いています。自分の軸をしっかり持ち、大切にしながら、日々挑戦したいです。今後は、ロスの舞台で金メダルを取れるよう、一年一年を大切にし、進化していきたいと思います」(阿部詩選手)

画像:柔道家の阿部きょうだいが並ぶ写真
画像:マイクを持ち、語る阿部一二三選手の写真
画像:マイクを持ち、語る阿部一二三選手の写真阿部詩選手の写真

シャンパンゴールドのイルミネーションが輝く、幻想的な景色

スペシャルゲストの思いが共有されたところで、いよいよ点灯の時間です。司会のかけ声とともにカウントダウンが行われると、イルミネーションがともされました。街を照らすのは、約200,000球のLEDライト。シャンパンゴールドの美しい光が、西新宿の夜を幻想的に彩っていきます。並木道の黄葉やビルの壁面にもライトアップが反射し、会場は一気に明るくなりました。

画像:イルミネーションを背景に並ぶ柔道家の阿部きょうだいの写真
画像:イルミネーションを背景にマイクを持ち、語る阿部一二三選手の写真
画像:イルミネーションを背景にマイクを持ち、語る阿部詩選手の写真
画像:イルミネーションの点灯ボタンを押す写真
画像:登壇者の集合写真

阿部きょうだいも、まちの新たな光景への感想とともに、今年一年の締めくくりを語り合いました。

「美しい光景に感動しました。失敗して落ち込んでいるときに、このイルミネーションを眺めれば、少し心が穏やかになるのではないでしょうか。間もなく1年が終わりますが、今年の自分を振り返り、一文字で表すならば、『覇』です。東京オリンピック以来の目標だった2連覇を達成できて良かったと感じます」(阿部一二三選手)

「パリオリンピックがあった今年は、夏の記憶が強かったのですが、今日、点灯をお手伝いできたことで、冬の思い出ができました。今年はまだ1カ月あるので、毎日努力を重ね、次の1年につなげていきたいです」(阿部詩選手)

阿部きょうだいは式典の終了後、キッチンカーエリアへ移動し「鮨さきがけ」で鮨を堪能。「屋外で鮨を食べることは少ないので、新鮮です」と感想を語りました。

デジタルスタンプラリーで巡る、西新宿の街並み

イルミネーションがともったメインストリートでは、多くの人が散策を楽しみます。中にはスマートフォンで撮影し、SNSに投稿する姿も。海外からの来場者もいるようで、イルミネーションや日本の文化に興味津々です。西新宿イルミネーションマーケットの光景は、新たな夜間観光スポットとして世界中に広がるのかもしれません。

また、会場エリア周辺では、「西新宿イルミネーションスタンプラリー」も行われました。複数箇所に設置されたスポットを巡り、デジタルスタンプを集めると、抽選で景品を手に入れることができます。景品は、新宿区で大正9年より続く歴史ある染色工房「染の里おちあい」が手掛けた、手染めきもの生地による御朱印帳をはじめ、2WAYトートバッグやステンレスボトルなど、東京らしさあふれるアイテムです。

デジタルスタンプラリーは、西新宿イルミネーションマーケットの期間中、常時開催される予定。西新宿のホテルやビルを巡りながら、スマートフォンにて気軽に楽しむことができます。

画像:イルミネーションと街の写真
画像:イルミネーションと東京都庁の写真
画像:イルミネーションをアップにした写真

伝統と革新が交差する、新しい東京の顔を楽しんでほしい

こうして西新宿イルミネーションマーケットの点灯式は終了。主催者である東京ナイトタイム魅力創出プロジェクト実行委員会の担当者は、「人と企業が集積し、ビジネスエリアとして発展を続けてきた西新宿ですが、いま、都庁舎を中心に、夜の観光資源を創り出す取り組みが広がり始めています。TOKYO NIGHTTIME PROJECTでは、地域の皆さまとも連携しながら、東京の魅力である「伝統」と「革新」が感じられるナイトタイムのさまざまな取り組みを展開していきます。開催期間中、ぜひ多くの皆さまに楽しんでいただきたいと思います」と、抱負を語りました。

TOKYO NIGHTTIME PROJECTでは、2024年の大みそかに「Happy New Year Tokyo 2025」を開催予定です。プロジェクションマッピングによる壮大な光のショーで、新年を迎えます。当サイトでは引き続き情報発信に努めていきますので、ぜひご覧ください。